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人気低迷なのに…亀田厳しい“世界商戦”シナリオは?
2007年08月17日
 WBCフライ級世界王者の内藤大助(32)=宮田=と亀田兄弟の二男でWBCフライ級15位の亀田大毅(18)=協栄=の世界戦が、10月11日に行われることが、16日に発表された。ファイトマネー総額3億円のビッグマッチだと騒がれている。ようやく実現した亀田兄弟の日本人対決だが、亀田陣営と協栄ジムのさまざまな思惑や戦略もみえてくる。

 「亀田大毅は『本当は音楽がやりたい』と話していて、この世界戦で負けたら引退する意向だという話を協栄ジムの関係者から聞いています」と語るのは、格闘技ジャーナリストの片岡亮氏だ。

 亀田三兄弟のなかで、大毅はもっともボクシングに向かないとみられてきた。内藤に勝てる可能性は極めて低いというのが、ボクシング関係者の共通した見方だ。

 そんな大毅に世界戦をさせるのは「引退への花道」というだけではなく、低迷する亀田人気を盛りあげるための苦肉の策との見方もある。

 もちろん万が一、大毅が内藤を倒せば万々歳。敗れても協栄ジムや亀田陣営は次のドラマを用意しているというのだ。

 兄の興毅と大毅が出場した7月28日の「亀田の夏祭り」では、約8000人収容の有明コロシアムに、主催者発表で4000人。実際は2000人にも届かなかったとされる。

 そうしたなかで、同じ協栄ジムのWBAフライ級王者の坂田健史(27)と亀田兄弟を戦わせる同門対決の話が浮上したが、内藤がWBCの王者となったことで状況が変わった。

 「協栄としても、できれば同門でのつぶし合いはしたくないでしょう」(片岡氏)というなかで、10月に大毅が負けたら、「兄の興毅が敵討ちで内藤に挑む」というシナリオを描くことができ、亀田人気回復のカンフル剤になるだろう。

 しかし片岡氏は、別の見方もあるという。協栄ジムの金平桂一郎会長は興毅の世界戦について、「来春以降」と漏らしているためだ。内藤も坂田も、来春までに2回ほど防衛戦を行う必要があるため、来春までには亀田が挑む世界王者が日本人でなくなる可能性がある。

 「協栄ジムでは興毅が日本人と戦えば、興毅がヒール役になってしまうので、できれば避けたいようなのです」(片岡氏)。一方で大毅戦が話題となり、内藤の知名度が上がれば、協栄ジムとして坂田と世界タイトルの統一戦をやらせる価値も高まる。

 そこでどちらが勝っても、WBAの王者はスーパーチャンピオンに昇格し、WBAフライ級1位の興毅には、空位となった王者を決める王者決定戦に出るチャンスが生まれる。「協栄ジムや亀田家にすれば、日本人と戦わせず、興毅の価値を高めるには、それが最良のシナリオとも考えているのでしょう」というのが片岡氏の見方だ。

 今回の大毅の世界戦で、協栄ジムは両選手のファイトマネーの総額が3億円と宣伝しているが、実際には「とてもそんなには出せないでしょう」というボクシング関係者の声は多い。そもそも、片岡氏がこれまで指摘してきたように、大毅は過去にフライ級の体重で戦ったことがなく、世界ランク15位も“作られた肩書”との疑惑にさらされてきた。

 注目の日本人対決であることに間違いはないが、その後のシナリオも亀田家や協栄ジムの思惑通りに動くのか、注目される。


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