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月の謎解明に向け、「かぐや」打ち上げ
2007年09月14日
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)の月周回衛星「かぐや」が14日午前10時31分、種子島宇宙センター(鹿児島県)からH2Aロケット13号機で打ち上げられた。かぐやは米アポロ計画以来となる本格的な月探査機で、地形や元素の分布などを高精度に観測。月の起源や進化の謎に迫る成果が期待される。

 予定軌道への投入に成功すれば、かぐやは地球を2周した後、約5日間かけて約38万キロ離れた月へ向かう。順調に行けば打ち上げから約3週間で月の軌道に到着。10月下旬に観測用の周回軌道に入り、12月から約1年間、本格的な観測を行う。

 主衛星と2基の子衛星で構成され、主衛星は月の上空100キロを南北方向に周回。子衛星は切り離され、別の楕円(だえん)軌道を回る。

 かぐやは計14種類の高性能の観測機器を搭載。10メートルの分解能で地形を立体撮影し、詳細な月面地図を作製するほか、電波の反射を利用して地下数キロの地質を調査。鉱物や元素、磁場、重力の分布なども調べ、月の“素顔”を明らかにする。

 1969年から72年までのアポロ計画では、月の赤道付近の石を持ち帰って分析し、月は地球とほぼ同時期の約45億年前に誕生したことなどが分かった。しかし、90年代の米国の周回衛星による観測で、月は場所によって物質が異なることが判明。誕生や進化の仕組みを解明するには、月全域にわたる高精度の探査が求められていた。

 一方、H2Aの打ち上げ作業は今回から、機体の製造元である三菱重工業に移管され、JAXAは安全確保の業務だけを担当した。民間主体による初の打ち上げの成否は、目標とする商業衛星ビジネス参入に向けての試金石となる。

 今回の打ち上げは衛星の開発費320億円、ロケット110億円、地上設備120億円の計550億円が投じられた。

 月探査機は日本に続いて中国が年内、米国とインドが来年に打ち上げを計画しており、将来の月面基地建設や資源利用をにらんだ探査ラッシュを迎えている。


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