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殺人警官の退職金「論外」と石原都知事
2007年09月01日
 石原慎太郎都知事(74)が8月31日、拳銃で知人女性を殺害後、自殺した警視庁立川署の友野秀和巡査長(40)に退職金が支払われることについて「論外だと思う」とぶった切った。警視庁の警察官の退職金は都の条例で定められ、死亡退職扱いとなる友野巡査長には、都の予算から通常より5割増しの約1200万円が支払われる見通しだ。警視庁や都庁には批判が殺到している。

 石原都知事は定例会見で、友野巡査長の退職金問題について尋ねられると、「その警察官に? 退職金払うの?」と驚いた様子で問いただし、その上で「(批判は)当然だろうね。論外だと思います」と述べた。

 事件については「自分は死んだけど、人を殺してるんだからね。警察の沽券(こけん)にかかわる問題だ」と指摘。都条例に基づき、都予算から退職金が支払われることについては「警察という生命の安全を預かる立場の人間がそういうことをしたんでね。条例があるからといって、退職金を支払うのは非常に違和感を感じるし、警察に対する信頼も阻害される気がする」と話した。

 事件発覚当日の8月21日から29日までに警視庁と立川署に寄せられた苦情電話、メール約600件のうち、友野巡査長の退職金をめぐる批判は約2割を占め、最も多い。退職給付を担当する都庁の担当部署にも「被害者の遺族には私財で賠償するのが筋」「あの警官に税金から退職金を払うのか」「条例で想定してなかったのはなぜか」など、1日10件以上の苦情が続いている。

 都条例では、退職金が支払われないケースは、<1>受け取る側が懲戒免職処分を受けた場合<2>禁固刑以上の刑事罰が確定した場合<3>給付を受ける側が辞退した場合、の3つだけで、都知事権限で給付を差し止めることはできない。都によると、友野巡査長はすでに死亡しているため懲戒処分対象にはならず、書類送検されても「被疑者死亡のため、不起訴となる見通しが強
い」。制度上、辞退しない限りは死亡退職扱いで通常より5割増しの約1200万円が支払われる情勢だ。
 警視庁によると、友野巡査長の両親は「被害者の遺族に受け取ってもらいたい。できなければ、退職金受け取りは辞退したい」と話している。  


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