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郵政民営化スタート “憂便”と言われないで
2007年10月01日
 郵政事業が民営化した1日、装いを新たにした各地の郵便局では、訪れた客が新しい窓口にやや戸惑いながらも、「サービス向上につながってくれれば」と見守った。郵便事業・郵便局・郵貯・簡保の各社に分かれた巨大企業グループ。各社が“同居”する新しい郵便局が登場する一方で、地方では集配業務の統廃合が進み、配達をやめた郵便局が増えた。民営化をきっかけにボランティア貯金も廃止になるなど、官業時代の「公共サービス」の低下に、不満の声も上がっている。

 東京都港区の赤坂郵便局。正面入り口の二つある自動ドアには、一つがオレンジ色の「郵便局」のロゴが、もう一つには緑色の「ゆうちょ銀行」のロゴが入っている。局舎内は間仕切りが設けられ、職員の制服も別。見た目でもはっきりと別会社であることが分かる。

 赤坂郵便局のように間仕切りが設置されたのは、全国約二万局のうちゆうちょ銀行の直営店が入る大型局約二百三十局。大半の局は、見た目は従来と変わらない。

 午前九時の業務開始から十五分が過ぎると、ゆうちょ銀行の窓口の前のいすは、順番待ちの十数人の利用客で、早くも満席に。貯金に三十分近く待ったという主婦(75)は「仕事が細分化され、職員も大変そうだった。待ち時間が少ないのが郵便局の取りえだったんだけどね」とあきらめ顔で話す。

 ゆうちょ銀行の担当者は「例えば、通帳を切り替えるには本人確認が必要な上、新たに収入印紙の張り付け作業が加わった。職員が慣れるのには、どうしても時間がかかる」と釈明する。

 また、民営化に伴い非課税だった印紙税が課されるようになった。一律三十円だった公共料金の払込手数料が「三万円未満は三十円、三万円以上は二百四十円」に引き上げられるなど、値上がりになる手数料は多い。

 自営業の川西博さん(57)は「職員の愛想が少し良くなったぐらいで特に変わりはなかった。民間銀行の手数料はもっと高いが、郵便局が右にならえで高くするのはどうか」と、手数料の値上げに不満顔。

 旧公社が進めた集配局の統廃合により、全国約四千七百局のうち、千局余りで集配業務が廃止された。東北地方の元特定郵便局長は「集配局が少なくなり、局から遠い地区では、集配業務に時間がかかるようになった」と話している。

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