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時津風親方 今週中にも永久追放
2007年10月02日
 大相撲の序ノ口・時太山=ときたいざん=(当時17、本名・斉藤俊=たかし=さん)が急死した問題で、日本相撲協会は1日、東京・両国国技館で師匠の時津風親方(57=元小結・双津竜、本名・山本順一)を事情聴取した。聴取後、北の湖理事長(元横綱)は近日中に緊急理事会を開催し「厳しく処分する」と初めて明言。過去に例のない「解雇」処分が確実となり、時津風親方は相撲界から永久追放されることになった。

 深々と頭を下げた協会トップの姿が、決断の重大さを物語っていた。八百長騒動、朝青龍問題では公の場を避けていた北の湖理事長が、今年初めてテレビカメラが陣取る記者クラブで会見した。神妙な表情で謝罪したあと、理事長の口から厳しい決意が込められた言葉が出てきた。

 「人が1人死んでいるので、厳しく処分するのが常識。近いうちに理事会を開催したい」

 この問題で警察が立件方針を固めたことが明らかになった9月26日、北の湖理事長は「警察に一任」との姿勢だった。28日に監督官庁である文部科学省から呼び出しを受けてから「協会独自で処分する考えがある」と口にしていたが、内容については時津風親方本人の事情聴取後に決断すると思われていた。その結果、出てきた「厳罰」の言葉。北の湖理事長が処分の中で最も重く、過去に例がない「解雇」を決意したのは明らかで、今週中に開く緊急理事会で正式に処分する見通しだ。

 この日の聴取は、午後1時15分から国技館の理事室で始まった。時津風親方を北の湖理事長と武蔵川理事(元横綱・三重ノ海)、伊勢ノ海理事(元関脇・藤ノ川)、協会顧問弁護士の今野勝彦氏の4人で行った聴取は、約1時間半に及んだ。その中身は、斉藤さんが亡くなった6月26日に「病死」と報告された内容とは一変していた。

 時津風親方は6月25日にビール瓶で斉藤さんの頭を殴ったことを認め、26日には30分に及ぶぶつかり稽古の中で、兄弟子がバットや約40センチの木の枝で尻を叩いたという。しかし「やってはいけないと止めた」と話し、斉藤さんを20分間、放置したことについては「苦しそうにしていたので、つきっきりで見ていた」と説明したという。

 それでも時津風親方に辞意はなく、北の湖理事長も「責任は本人が痛感すること」と辞職を勧めなかった。遺族に対する謝罪や補償について「こちらから(誰かを)派遣して陳謝、説明すべき」と話すにとどまり、自身の進退は「師匠が責任を取るべきだと思う」と時津風親方の処分ですべてを終わらせる考えだ。

 解雇された場合は再び協会に帰属できないと定められており、時津風親方は事実上の永久追放といえる。「力士指導に関する検討委員会」は立ち上がったが、暴行と稽古を区別できず、警察や監督官庁が動いてやっと腰を上げた相撲界の体質に対する不信感はぬぐえない。1人の若者の命が奪われた過去最大の不祥事は、師匠の追放だけで終わらせてはならない。

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